第4話

すると松方は特に何を続けるでもなく、料理に目を向けている。





「…何か?」



そして突っ立ったままのあたしを見上げて声をかける。





「や、事務所行けばいいじゃん」


「ああ。後で行きます」


「ってか用事ないならそもそも帰るべきでしょ」




「……まあ、はい。そうですが」





そこで松方は口籠り、フォークを取り出した。






それを見て、あたしも今の間を不審に思いながらも仕事に戻った。











――――――……




「二十二時上がり、上がれー」



店長が掛ける順々の声に従って、あたしたちも事務所に引き返そうとする。




「竹永、ちょっとこれ」



位置的に一番最後になったあたしを店長が呼び止める。あたしは店長の足元に転がるゴミ袋を見て、危うく舌打ちしそうになった。

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