第28話 強化個体?

 目が覚めた。


 ここは水筒のダンジョンの入り口の近くか。


 そういえば、ポスの部屋の前のリスポーンポイントに触ってなかったな。


「起きたか」


「ああ。結局、どうにもならなかったなぁ」


「そうね。攻撃が全然効かなかったわね」


「あれを倒すには、いま以上の攻撃力が必要だな」


「そうだな」


 あいつはレベルいくつくらいで倒せるのだろうか?



「おはようでやんす!」

「んぴょー……」


 近くで寝ていたサケニノさんと、ナワデシバラさんも目を覚ました。


「ああ、お腹が痛くないでやんす! 素晴らしいでやんす!!」


「それは良かったな」


「んぴょー……」


「ナワデシバラさんは元気ないな。どうしたんだ?」


「あの箱の中での出来事のせいだと思いマァス」


「ああ、すさまじく熱かったからな」


「いや、そっちじゃないと思うわヨ~」


「ナワデシバラさん、申し訳なかったでやんす!」


 ああ、そっちか。


「んぴょーんぴょー。んぴょーんぴょー」

「『あれは仕方ない。怒ってない』と言っているみたいデ~ス」


「そう言ってくれると、助かるでやんす!」


 不仲にはなってないようだな。

 良かった。



「あ~、またキッコウ君が服を着てないでやんす! 変態でやんす!!」


「んぴょーんぴょーんぴょーっ!」

「『早く葉っぱを付けろっ!』と言っていマ~ス」


「ああ、そうだったな。すまない。そういえば、あの葉とカチューシャは無事なのだろうか?」


 ものすごく熱かったからな。

 燃え尽きたのではないだろうか?


「とりあえず、調べてみたら?」


「そうだな。アイテムボックストッキングオープン」



「おおっ! 両方とも無事だ! 良かった!!」


「そういえば、両方とも解説に『壊れにくい』って、書いてあったわね」


「ああ、そうだったな! ありがたすぎる!!」


「うむ、まったくだ」



 葉とカチューシャを装備した。


「さて、水筒を入手するまで、モンスター狩りをしようか」


「んぴょー!」

「了解でやんす!」


「よし、行こう!」



 ダンジョン内を歩き回りながら、水頭モンスターを狩りまくった。


「おっ、おどろおどろしい効果音が聞こえてきたぞ」


 レベルが上がったみたいだな。

 これでレベル10だ。


「んぴょー!」

「レルもみたいヨ~」


「ふはははははははっ、わたしも聞こえたでやんすよ! あーっはははははははっ!!!」


「では、ステータスを見てみるか」


「んぴょー!」

「楽しみでやんすね! ははははははっ!!」


 ステータスオープン。



「いつもと同じ上昇量だな」


 変な項目があるのも、いつも通りだ。


「せっかくレベルがふた桁になったというのに、変化なしか。なんか残念だな」


「そうでやんすね! こういう時は、とりあえず、笑うでやんす! ぎゃはははははははっ!!!」


「ああ、そうかよ」


 ポジティブだなぁ。

 まあ、ネガティブよりは良いか。


「んぴょー、んぴょーんぴょー!」

「『いや、それは違う!』と言っているみたいデ~ス」


「えっ? 何が違うんだ?」


「んぴょーんぴょーんぴょーんぴょーんぴょーんぴょーんぴょーんぴょー!」

「『次のレベルアップまでの経験値の量が増えている!』と言っているみたいネ~」


「な、なんだって!? 次のレベルアップまで経験値200必要みたいだな。いままでは、どのくらいだっけ?」


「んぴょーんぴょーんぴょーんぴょー!」

「『現在のレベルの10倍だった!』と言っているみたいデェス」


「じゃあ、これからはレベルの20倍になるのかよ!?」


「めんどくせぇでやんす! 笑えてくるでやんす! あははははははっ!!!」


「そこは笑えねぇよ!!」



「まあ、なんであれ、いまは水筒を入手しないとな。狩りを続けよう」


「んぴょー!」

「がんばるでやんす! あはははははははっ!!!」



 奇妙なものをを発見した。


 黄色い水のようなもので作られている人の頭のようなヤツだ。


 大きさは、他の水頭モンスターと変わらない。

 宙に浮いている点も変わらない。


 なんだあいつは?

 あるものを連想させる、嫌な色をしているなぁ。


「あんなヤツ、初めて見たな。出現率の低いヤツなのかな?」


「そうかもしれないわね」


「んぴょーんぴょーんぴょーんぴょー。んぴょーんぴょー」

「『強化された個体かもしれない。気を付けよう』と言っているみたいデ~ス」


「そうだな。ここは慎重にいこう」


「んぴょー」


 ナワデシバラさんが首を縦に振った。



「なんだあれはでやんす!? 実にけしからんでやんす! ちょっと説教をしてくるでやんす!!」


「えっ!? なんで!? おい、やめろ、酔っ払い!?」


 サケニノさんが黄色い人頭の方に向かって行った。


 仕方ない、俺も行くか。



「ようこそ、諸君ウサ~イエ~。我が名は『ニーヨガガゴーンラ』だウサ~イエ~」


 黄色い人頭が、そう言った。


「おい、そこの黄色いの、なんでそんな色をしているんでやんすか!?」


「そこは不明だウサ~イエ~。我は最初から、こうだったからなウサ~イエ~」


「さ、最初からでやんすか!? なんてけしからんヤツでやんすか!? 最初から、そんなお〇っこみたいなヤツだったなんてでやんす!!」


「何言ってんだよ、酔っ払い!?」


「だから、あいつがおしっ〇の塊みたいな見た目なのが、けしからんと言っているでやんす!!」


「もういいから下がれ、酔っ払い!」



「おし〇ことはなんだウサ~イエ~?」


「気にしなくて良いぞ! それよりも、君は襲ってくるのか?」


「うむ、なぜかは知らんが、そうしなければいけない気がするウサ~イエ~」


 こいつもモンスターか。



「ゆくぞウサ~イエ~!」


 ニーヨガガゴーンラが、黄色い小さな水の塊を撃ち出してきた。


 攻撃方法は、他のモンスターと同じみたいだな。


 では、倒すとするか。

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