第23話 新装備の力
「カチューシャの力を試してみようか」
「うむ、そうだな」
「モンスターを探しに行きましょう」
「では、出発でやんす!」
「んぴょー!」
ホブラマグを発見した。
どうやらこちらには気付いていないようだ。
よし、あいつで試すとしようか。
いくぜ!
俺はホブラマグに接近し、蹴りを放った。
ホブラマグは蹴りをもろにくらい、吹き飛ばされ、木に激突した。
そして、消えていった。
経験値が1増えていた。
ドロップアイテムは出なかった。
「見事であったぞ、シバル!」
「ありがとう。自分でも驚くくらい速く体が動いたよ。このカチューシャは、本当にすごいな」
「見た目の方も、すごいことになっているがなッ」
「まったくだぜッ」
「見事なまでの変態でやんすね」
「んぴょー」
「うるせぇっ!!」
「かなり強くなったみてぇだし、ダンジョンに戻るかッ?」
「それも良いかもしれないでやんすね」
「んぴょーんぴょーんぴょーんぴょーんぴょー」
「『私たちは強くなってないから反対』と言っているみたいデェス」
「確かにそうだな。では、レベル上げを再開しようか」
「面倒だけど、仕方ないでやんすね」
「よし、行くぞ」
「ああ…… お腹が空いたでやんす…… 何か食べたいでやんす……」
「んぴょー……」
「レルも減ったみたいデ~ス」
「確かに減ったなぁ……」
「んぴょーんぴょーんぴょーんぴょー、んぴょーんぴょー?」
「『そろそろ空腹度回復のために、モンスターに殺される?』と言っているみたいネ~」
「そ、それはちょっと遠慮したいでやんす……」
「だが、現状では仕方ないだろ」
「それは分かるけど、気が進まないでやんす…… なんかないでやんすかね? って、あそこになんかあるでやんすよ!?」
「えっ? どこだ?」
「あそこでやんす! あの木に、実が
サケニノさんが指差した木に、ブルーベリーのような色をした、パパイヤのような形の実が大量に
「美味しそうな実でやんす! 食べてみようでやんす! キッコウ君、採って来てでやんす!!」
「仕方ないなぁ」
ナワデシバラさんとサケニノさんは、手が縛られているからな。
木に登って、実を採った。
変な臭いはしないな。
毒は入ってないのかな?
まあ、それは解説を見れば分かることか。
木から下りたら見てみよう。
「採って来たぞ」
「さっそく食べてみるでやんす! いただきますでやんす!」
「待て! その前に、解説を見てみよう!」
コメンタリーオープン。
名称
ブルーヤイバジマパの実。
解説
人間には有毒な実。
食べない方が良い。
「毒じゃねぇか!?」
「また毒でやんすか!? なんでここには毒ばかりあるんでやんすか!? たまにはマトモに飲み食いしたいでやんすよ!!」
「そんなの知らん!」
「んぴょーんぴょー。んぴょーんぴょーんぴょー」
「『仕方ない。モンスターに殺されよう』と言っているみたいデェス」
「はぁ、気は進まないけど、仕方ないか」
「うう…… どうせ死ぬなら、その前にこいつを食べてやるでやんす!!」
「えっ!?」
サケニノさんが実にかじり付いた。
「う~ん、微妙でやんす。たいして甘くもない、そこそこ酸っぱいリンゴみたいでやんす」
「そうなのか」
「それじゃあ、モンスターを探そうか」
「んぴょー」
ナワデシバラさんが首を縦に振った。
目が覚めた。
ん?
なんだ?
なんか体の調子がおかしいな。
体が重く感じる。
どういうことなんだ?
「おはようでやんす」
「んぴょー」
サケニノさんとナワデシバラさんが近付いて来た。
「んぴょー!?」
「キッコウ君、なんで全裸でやんすか!? 寝る時は、全裸派なんでやんすか!?」
「えっ!? うわっ!? なんでだ!?」
俺はとっさに両手で息子さんを隠した。
「葉はどこだ!? もしかして、モンスターにやられた時に落としたのか!?」
「落ち着け、シバル」
「葉とカチューシャは、アイテムボックストッキングの中にあるわよ」
「えっ? そうなのか? なんでだ?」
「生き返る時に所持していたものは、全部アイテムボックストッキングの中に入れられるらしいデ~ス」
体の調子がおかしかったのは、カチューシャを装備していなかったからなのか。
「なんでそんなことを?」
「『生き返らせるのに邪魔だ』って、神が言っていたわヨ~」
「はぁ、そういうものなのか」
ただの人間には分からないことだな。
葉とカチューシャを装備し直した。
では、レベル上げを再開しようか。
奇妙な姿の動物が現れた。
黒っぽい毛に覆われた熊のような足が4本生えている、ホブラマグみたいなヤツだな。
「むっ、変なのがいるウッサ」
熊ホブラマグが、そう言った。
「いや、変なのは、そっちだと思うがな」
「いやいや、変なのは、お互い様だろッ」
「まったくだぜッ」
「うるさいなぁ」
「この襲いたくなる感じは、ニンゲンだなウッサ?」
「そうだ。君はモンスターだな?」
「その通りだウッサ」
「他に呼び名はあるのか?」
「『ベレホブラマグ』と呼ばれているらしいウッサ」
「そうなのか」
「では、死んでもらうウッサ。ゆくぞウッサ」
ベレホブラマグがそう言い終えた直後、4本の足が切り離され、向かって来た。
なんだそりゃぁっ!?
なんで足が全部切り離されるんだよ!?
やっぱりこいつの方が変だな!!
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