第64話

半透明のブラウンで中にはブランドロゴをあしらった細工が見える。




「可愛い!これ!」




トモ子は感激して店員に声をかけた。




「これください!」




「あっ、待って」




私は財布からお金を出すと店員に渡した。




「えっ!そんな、悪いよ。自分で買えるから……」




そう言うトモ子を制して



「プレゼント。友情の記念に!」




私が言うとトモ子は涙ぐんだ。




「その代り、晩御飯はトモ子が御馳走してね」




「うん!」




トモ子の笑顔を見て私は思った。




この子は男と金で寝てもらったお金を使って遊ぶ楽しさを覚えた。




人は一度でも悪事が成功すると罪悪感がマヒしてしまう。



自覚はあってもどこか他人事のように薄まってしまう罪の意識。




もうトモ子は汚れることにも罪を犯すことにも抵抗はないだろう。




次はナオコにメールしなくちゃ。




今回のご褒美を与えないとね!

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