第56話

みんながそれぞれの待ち合わせ場所に行っても私だけはトモ子が相手と歩きだすまで見ていた。




2人が横断歩道を渡ってこっちに歩いてくる。




私はメールを見るふりをして視線をケータイの画面におとした。




どんどん近付くトモ子。




横断歩道を渡った2人は私とすれ違うように歩いて行った。




瞬間、トモ子が私の方をチラッと見た。




目に不安の色がさしている。




目が合った私は相手のオヤジに気付かれないように軽く微笑んだ。




トモ子の顔がパッと明るくなった。




これで大丈夫だね。




私は2人の背中を見送ってから自分の待ち合わせ場所、コマ劇場の奥にはいったところにあるホテルの前へ行った。




建物がライトアップされててキレイで良いかな。




ホテルの前にいたのは40代位の小太りのオヤジ。




ジャケットに無理して合わせてるローライズが笑える。

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