第2話 己の力

別室へと連れられ俺たちはとりあえずじじいの言っていたギフトとやらを確認することにした。


個体名:空森 幸 職種:道化

属性:空間 闇 氷 種族:ヒューマン

スキル:隠蔽 万糸操作 幻術 幸運

心理眼 万能庫


これがギフトってやつか?なんかよく分からんな他のやつのも見ないと何が何だかさっぱりだ。そんな時声をあげたのはやはり委員長の赤城だった。


「おい、みんなこれを見てくれ、」


持っていた紙に書き出したのか赤城は自分のギフトをみんなに見せていた。


個体名:赤城 芳人 職種:聖騎士

属性:炎 光 種族:ヒューマン

スキル:完全防御 盾術 思考加速

心理眼 万能庫


「それぞれ何らかの能力を得ていることだろう。ついさっきまでただの学生だったのにこれは一体なんだろうか。やはり王に聞いてみないと分からんな、」


赤城のステータス?を見たところ俺と同じような項目、能力がある。そのほか何人かに確認をとったところ種族や個体名とやらは皆そのままで各々スキルとやらが違うらしい。ただ心理眼は何人か被っていて万能庫に関しては皆共通のようだ。


俺は早速、念じてみて心理眼とやらを発動させてみた。するとある程度のことがわかってきた。まず職種、これはいわゆるジョブのようなものでこの世界における大きな分類のようだ。 この世界には魔法があるようでそれぞれの向き不向きや能力によって職種が違う。例えば赤城のように聖騎士なんて職種は守りに特化した近接型。俺の道化は騙し討ちや白兵戦といった卑怯な立ち回りをする万能型のようだ。


みんなも心理眼を用いて自分の与えられた職種、スキルについてわかってきたようだ。心理眼を持っていないやつも見てもらったりして理解はし始めていた。


そんな時再び王の招集がかかり俺たちは先程の広間に戻ってきた。


「どうだろう、自分たちにもたらされたギフトの確認はできたであろうか?」


「ギフトの確認はできたのですが、俺たちはどうすれば良いのか、帰る方法はあるのか、まだ分からないことが多すぎます。」


赤城がそう答えると王とやらは静かに答えた。


「先程も申した通り貴殿らにはこの国を、我々ヒューマンを守って欲しいのだ。今ヒューマンは魔族や亜属亜人族を初めとする様々な種族と領土を取り合い、戦争中となっておる。我々ヒューマンには魔族程の魔力もなければ亜人族のような力も技術もない。そこで我々を守り、救って欲しいのだ。

帰る方法については古い文献によると召喚の際に求められた事柄に対しての報酬、対価として元の世界に帰還することができるらしい。すまないが我々に力を貸してはくれぬだろうか。」


「......力を貸さないと帰れないんですね、」


誰かが呟く。じゃー道はひとつしかないだろ、それ以外で帰れる方法がないならそうするしかない。誰もが諦め、状況を飲み込む中 1人の男が口を開いた。


「王様〜、俺さ職種が道化らしいんだけど明らかに勇者じゃないし強くもないんだよね、それでも無理に戦って戦争終わらせないと帰れないの?」


空森が王に尋ねると王は...


「そうだ。本当に申し訳ないとは思っている。もちろんタダでとは言わん。報酬もあるしここでの生活はそれなりのものを用意すると誓おう。戦うための修練もするし武器も手配する。必ず帰れると約束するからどうか手を貸してくれ」


「あっそ、なるほどね。んじゃ俺は降りるわ じゃーね」


衝撃のセリフが空森の口から飛び出た。そして誰もが呆気に取られて固まる中、悠々と広間を出ていってしまったのだ。






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