第8話 最後の手がかり
学園の禁忌の扉を越えたアレンとリナは、未だ明らかになっていない封印の真実について調査を続けていた。次第に、彼らは封印が学園全体を包む防御の役割を超えて、内部の危険な力を抑え込むためのものであることを確信し始めていた。
ある日の午後、二人は学園の図書館で新しい手がかりを求めていた。アレンは、封印に関する文献が集中している一角で一冊の本に目を留めた。古ぼけた装丁のその本には、何やら奇妙な記述が書かれている。
「リナ、この本を見てくれ。このページ…『封印の鍵は四つの試練を経て現れる』って書いてある」
アレンが静かにページを指さすと、リナは興味深そうに覗き込んだ。そこには学園内で過去に使われていた「試練の儀式」に関する記述があり、封印を守るために四つの試練が施されたというのだ。
「つまり、この試練を乗り越えれば封印の核心に到達できるのかもしれないね」
アレンは呟き、試練に挑む覚悟を固めるかのように目を細めた。リナは彼の意志を感じ取りながらも、必要以上の励ましはせず、淡々と進行方法を確認する。
「四つの試練って具体的にはどこにあるのかな?私たちが今まで探索した場所とは違うかもしれない」
二人は図書館で見つけた手がかりをもとに、試練が行われる場所についての情報を調べていく。そしてその夜、試練の一つが学園の北側にある古い訓練場で行われることを突き止めた。
夜が更け、二人は静かな訓練場に足を踏み入れた。冷たい風が吹き抜け、遠くで聞こえる動物の鳴き声が不気味に響く。
「ここが一つ目の試練の場所か…」
アレンは少し緊張しながらも無色の魔力を周囲に放ち、試練に関する魔力の痕跡を探し始めた。すると、訓練場の奥に古い石柱が立っているのを見つけた。石柱にはルーン文字が刻まれており、彼が近づくと淡い光を放ち始める。
「この石柱が試練を始めるためのものみたいだね」
リナが低く呟き、二人は慎重にその石柱の前に立った。すると、石柱から声が響いた。
「我を超えんとする者よ、恐れを克服せよ」
その声は訓練場全体に響き渡り、次の瞬間、あたりが闇に包まれた。何も見えない中、冷たい空気が肌に刺さり、アレンは強烈な孤独感を覚えた。
「これは…恐怖を感じさせる試練か…」
アレンは無色の魔力を放ちながら、視界を取り戻そうと試みたが、まるで深い暗闇が彼の意識を奪おうとしているかのようだった。過去の記憶や、自分の無力さを突きつけるような幻影が頭の中に浮かび、心が揺さぶられる。
その時、かすかな光がアレンの視界に現れた。それは、リナが精神魔法を駆使して放った小さな光だった。彼女がどこかで支えていることを感じ取り、アレンはその光に向かって心を落ち着け、魔力を整え始めた。
「ここで屈するわけにはいかない…僕は、封印の真実を知るために進まなきゃいけないんだ」
アレンは力強く自分に言い聞かせ、無色の魔力を周囲に放出し、幻影を振り払った。闇が徐々に晴れ、再び訓練場の風景が戻ってきた。
試練を終えたアレンが目を覚ますと、リナが少し離れた場所で静かに見守っていた。彼女は特に声をかけることなく、ただアレンの決意が伝わるのを感じ取っていた。
「ありがとう、リナ。君の魔法がなければ、試練に飲み込まれていたかもしれない」
アレンが静かに礼を言うと、リナは軽く微笑みながら肩をすくめた。「ただの偶然かもしれないけどね。試練はあと三つあるんだ、まだ気を抜かない方がいいよ」
彼女の冷静な言葉にアレンも頷き、次の試練に向けて身を引き締めた。
その夜、二人は試練の結果を確認しながら、さらに謎を解明するために必要な準備を整えることにした。次なる試練が待つ場所についての情報を再度集めると、次の試練が学園の東側にある古い礼拝堂にあることがわかった。
「次の試練もきっと容易じゃないだろうね」
リナが静かに言葉を口にする。アレンも次の試練にどんな挑戦が待ち受けているのかを考えながら、礼拝堂への心構えを整えた。
「分かってる。でも、僕たちでできるだけのことをして、封印の真実にたどり着こう」
互いに何も強調することなく、冷静に次の準備を進めた二人は、学園の封印に隠された秘密を解き明かすため、さらに試練の旅路を進む決意を固めていた。
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