第37話

諷璃は藍ちゃんの手を握り小さく呟き、唱えると藍ちゃんの体を少し浮かせて服や顔、髪などについた砂を取り払う。



「すげー!!」


「かっこいい!!」



「……!」


「……藍ちゃん、目は痛くないかな?」


「……う、ん。すながこわかった」


「そかそか。念の為に目に入ってるといけないから

紙ちゃん先生と洗っておいで?」


「うん。」


「紙ちゃん、お願いします」


「えぇ……仲裁(あと)は任せるわね。」


「……わかりました。」




紙雨は藍ちゃんを連れて教室へ戻った。二人を見送ると、諷璃は男の子の方に向いて視線を合わせる。




「……ぼく、お名前は?」



「……ゆう!」




「遊くん、なんで藍ちゃんをみて笑ってたの?」




「すなをかぶせたら砂まみれだったから!!!

おもしろかった!またやりたい!!」




「……。……遊くんは、藍ちゃんと遊びたかったの?」



「ううん!」



「いじめたかった?」



「うん!」



「……遊くんは、悪者になりたい?」



「……!」

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