第15話
「どうしたら!?このままじゃ美希ちゃんがっ。もうぶち壊すしか」
『それはダメ!!』
修理費がっ。
管理人さん……はダメだ。
深澤さんは私の家族ではないから、絶対に鍵は開けてくれない。
どうしたら……
あ!!
目に飛び込んできたのは、郵便受け。
『深澤さん。深澤さんっ』
「うん!?てか、深澤さんは止めて。こう心の距離がっ」
『今はそんな場合じゃない!!』
「はい!!」
『そこ!!』
「うん?」
『郵便受けに
「ぬぇ!?」
小さな郵便受け、だけどこの柔らかなヌイグルミの体から入れる。
入って鍵を開ける。
そう言うと
「それって、美希ちゃん痛くない!?大丈夫なの!?」
『でもそれしか方法がない』
私はもう覚悟を決めたのだ。
生きるって。
だから少々の痛みなんてどうってことない。
キッと深澤さんを見ると、渋々ながらわかってくれた。
「いくよ?いくよ?」
『はい!!』
大きな手がヌイグルミをソッと小さく折りたたみ、郵便受けへ。
「大丈夫!?大丈夫!?」
『大丈……夫。うっ!!』
「美希ちゃん!?」
ドサッと体が玄関に落ちた。
入れた!!
『待ってて、今開けるから』
って、ヌイグルミの体には玄関は大きい。
しかも私しっかり、チェーンまで掛けちゃってるのよ。
偉いんだけどね、褒めたいんだけどね。
今回ばかりは、私のバカ!!
なんとか、傘をドアノブに引っ掛けそれを登り、鍵を開け……
下駄箱の上に立ち
『ふんぬぬぬぬぬぬっ』
微妙に、微妙に足りない!!
「美希ちゃん、頑張れ!!」
『おーっ!!』
ガチャンッ!!
『「開いた!!」』
『わっ!?』
勢いよく開かれたドアに
「よく頑張ったね!!ありがとう!!」
深澤さんにキャッチされ、抱きしめられ
「お邪魔します!!」
一緒に部屋に入った。
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