常連さん
第5話
短髪の黒髪。
切れ長の黒曜石のような瞳。
韓国の俳優さんみたいに端正な顔立ちで、身長は180センチはあるんじゃないかな。
そして細身ながら鍛えられた身体。
パーフェクト!!
パーフェクトではないかね!!
でも初めて見た時はなんとも思わなかった。
好みのタイプでも全くなかったし。
けれどこんなに好きになったのは……
『ありがとうございます!!』
私がそう言うといつも笑顔で
『ありがとう』と返してくれて。
その内に、深澤さんが来るのを心待ちにするようになった。
少しずつ会話も増えていって、楽しくて嬉しくて。
自分の気持ちに気付き始めた時、それは起こった。
アルバイトの帰り道、二十代半ばの二人組の酔っぱらいに絡まれたのだ。
“可愛いねぇ”
“一緒に飲もうよ。それともホテル行く?”
なんて。
怖くて気持ち悪くて、断って逃げようとした。
けれど手首を掴まれ引き摺られる。
周りに人はチラホラいたけれど誰も助けてはくれなかった。
見て見ぬふりをされた。
それでも必死に抵抗して逃げようと頑張ったんだけど
“大人しくしろや!!”
って殴られそうに。
そこを助けてくれたのが深澤さんだった。
アッという間に酔っぱらい達から引き離してくれて、私を背に庇うように立ってくれた。
そして今まで聞いたこともない低い声で
“失せろ。病院送りになりたくなかったら”
と言った。
深澤さんの迫力に恐れをなしたのか、酔っぱらい達はグチグチ何かを言いながらも立ち去った。
怖くて、危機が去っても震える私に
“もう大丈夫だよ、怖かったね。良く頑張った”
いつもの笑顔でそう言って、さっきヌイグルミにしたように頭を撫でてくれたんだ。
もうズドンと。
恋に落ちたよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます