episode14 奮闘


「悠介…」


理性なんて、ないのだと

思った。


「なる、お家の中に入ってなさい」


女の子が不思議そうに

俺を見つめる。

目が合うと走って家の中に

走っていった。


「悠介…げんき「お前がすべて壊したんだ!

どうして、母さんを捨てた!

どうして、優香を捨てた!

母さんは辛い素振りなどまったくみせなかった!

優香はショックで声が出ないままだ!」


胸ぐらを掴んで吐き捨てた。


「お前が幸せに生きているのが

不愉快だ。同じ辛さを味合えばいいんだ」


ガシャンッ!

思いっきり殴ってしまった。

その瞬間俺を照らす太陽が見えた気がした。


「悠介っ!」


「凛太郎と佳苗…?」


秘密にしろと言ったのに。

佳苗は言ってしまったんだ。


「殴ってもお前の心にある穴がうまるわけじゃない」


凛太郎と手を握る。


「西野さん、俺らに関わることだけは

やめてください。

殴ってすみませんでした。」

悠介が目を合わせて言った。


「悠介、僕は君たちを本当に

愛していたんだ」

後ろから聞こえた声に寒気がした。


その瞬間。


「とぅー!!!!」


バタッ!ゴンッと音がした。

「凛太郎さまの飛び蹴りをあびて

生きてるなんて運がいいな!」


「逃げろー!!!!!」


走った。凛太郎と佳苗のおかげで

この時をただの仕返しですんだ。


走って、走って、走って

電車に乗って

みんなが待ってるホテルに戻った時はもう

19時をすぎていた。


先生方には何をしていたか

とかいろいろ怒られたが

佳苗が

「迷子になっていたので、

私が迎えに行きました」の一言で

なにも処罰はなかった。


ご飯を食べて、お風呂に入り

今日のことを思い出してた。


凛太郎がもぞもぞとこっちに

寄ってきた。


「俺の飛び蹴り、かっこよかっただろ?」


「お見事でした」


「俺、高杉女子なんて

興味ないぜ?」


「わかってるよ」


もぞもぞと凛太郎が布団に入ってきた。

「お、おまえ、なにしてんだよ!」


「傷心の悠介くんを癒してあげようと思いまして」


「勝手にしろ」


温かい。

凛太郎の髪がいい匂いする。


悠介の体温が心地いい。


大好きだ。

大好きだ。


何があっても俺たちは

離れられない。

離れたくない。


朝7時半。


「なんだよ、こいつら」


「ひとつの布団に2人で寝るなんて

器用ですねえ」


寝かしとけーって隼人が言いながら

圭介と朝食にいく。


まだ、このままでいたい。


こんなにも愛おしい人がいるなんて

こんなにもしあわせなことなんだ。


なんだかんだで、

俺たちの修学旅行は終わった。


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