心霊写真に映っていたホテルの元従業員
素材【リモートによるインタビュー動画】
※音声のみ書き起こし
「──はい、それではインタビューを始めさせていただきます。本日はよろしくお願い致します」
「はい、はい。よろしくお願いします」
「ええ、まずは、インタビューを受けていただきありがとうございます」
「いえいえ」
「お孫さんからは、どういったお話を聞いておられますか?」
「何だかね、心霊写真ですか。心霊写真に、私が昔働いていたホテルが写っていたとかで」
「はい。それで、ちょっと……この写真なんですけど」
「ああ、はい、そうですね■■■ホテル。その写真……もう50年も前ですね。はい、確かに私の働いていたホテルです」
「それで、ここ──後列の、右から3番目に写っておられる方なんですけど。この、お顔が歪んでしまっている」
「ああ……はいはい……」
「この方が、どなたかって、おわかりになりますか?」
「これねえ、この写真。ほら──手前の、右から5番目。そこに写っているのが私なんですよ」
「あ、え? ああ、こちらが。ええ、すごい、今もお綺麗ですけど、美人さんだったんですね。看板娘」
「いえ、そんな、ねえ。やめてくださいよ」
「これと同じお写真は、お持ちになられて……?」
「いえね、これ創業50周年の時の写真で。2、3枚撮ったうちの1枚なんですけど。ほら、ねえ、ちょっと……この1枚だけ気味の悪い写り方してますでしょう? だからね、普通に写っているのだけを私達はいただいて」
「なるほど。ちなみに、そちらを見せていただくことは出来ますか?」
「すぐには……でも何処かにはあるはずなので、探しておきますね」
「ありがとうございます」
「それで、こちらの方は……?」
「ああ、■■■■さんっていうね、料理人の方で」
「ご健在で……?」
「どうかしら……ホテルがね、30年ほど前に廃業してからは、もうそれっきり……年賀状のやり取りもしておりませんので。ご健在かどうかは……」
「そうですか……」
「■■さんですが、当時この写真を見て何か言ってらっしゃいましたか?」
「そうですね……わりと、神経質なところがおありな方でしたので……けっこう気にされているようでした。皆でね、こんなの気にすることないよ、って。慰めた記憶があります」
「この写真が、縁もゆかりも無い、何名かのお宅にあるようなんですが……。何か思い当たることはございますか?」
「いえいえ、全く。見当も……」
「そうですよね……他の従業員の方達も、この写真はお持ちですかね?」
「はい。でも、こんな……こんな風に写っているものではなくて、私と同じで、普通に写っているやつをお持ちかと……」
「ですよね……」
「ええっと、本日は本当に、ありがとうございました」
「いえいえ。また何か思い出したら、孫から連絡させますね」
「ありがとうございます。それでは──」
(映像終了)
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