第11話
知らない土地に行って墓地を見に行くという、人にはあまり言えないフィールドワークの報告であります。流浪のサラリーマン、唯一の気晴らしとも言えます
そんな罰当たりな、とあなた達は思うかも知れません。
けれども、観光で皆さんが訪れるエジプトのピラミッドや中国の兵馬俑などもお墓です。面倒クサい人間の多い都市よりも、死者が静かに眠ってる場所の方がその土地について良く語ってくれるというのは皮肉なものです
中華圏では小高い丘が墓地となっていることが多く、びっしりと丘の斜面を埋めつくすように墓石が並んでいるのは壮観です。何でも天に近い頂上に近くなるほどお値段が高いそうです
が、唐突に爆竹の破裂音があちこちから響いてくるのにはいつも驚かされます。魔除け的な意味があるということなのですが、墓石に10メール以上の長さがある機関銃の弾帯のような爆竹を、しかも時にはそれを数本も墓石にぐるぐる巻きにして、数分以上も続く爆竹の連続攻撃を行ないます。爆竹自体も非常に大きく威力も強大です
もしこれが日本だったら、故人は余程の恨みを買っていたのだろうと思われる所業ですが、墓石も砕けよと言わんばかりの爆音の中、厳粛な雰囲気の中で遺族が悲しそうに佇んでいる光景は芸術的とも言えます、爆発ですから
西洋諸国の墓地は明るくて広くてスッキリとした感じです。
土葬が基本で、西洋人の体格が良いせいか一人当たりの占有面積も広いです。
各墓石も様々に意匠を凝らしたものが多く見ていて飽きません。
歴史を感じさせるもの、本人の略歴や何か格言を彫ってあるもの、人生同様色々です。芸術作品のようなものも少なくありません
ところで、こないだ日本に来たイギリス人同僚にどこかいいとこないか?と言われ、墓地を案内しました。薄暗い古ぼけた墓地にはびっしりと墓石や卒塔婆、供え物などがあって歩くのも大変です。西欧式に比べ小さな墓が密集している日本の墓場の有様を見た後、帰りの車の中でもずっと考え込んでいる様子、西洋と東洋の文化の違いに思うところがあるんだろうな、と気を利かせてこちらも黙っていました
そんな彼が突然叫びます。
判ったぞ!お前ら縦に埋めてんな?
、、、、いや、こっちは火葬だって
written by Pectin, Oct-2009
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