第7話
ドイツのキール市に、先の世界大戦を戦った潜水艦Uボートの実物を展示しているというので、住んでいる場所(アムステルダム)から500kmくらい離れているのですが週末に頑張って行って来ましたのでご報告
オランダからドイツに入りアウトバーンをひたすら運転して港町ハンブルグを抜けたところで暗くなってきたので、キールの手前リューベックという街で安宿(ガストハウス)を見つけて宿泊場所としました。
夕食のためリューベックの街中を散歩していると、とんがり屋根が2本出ているレンガ造りの大きな教会があったのですが、なぜかどこかで見たことがあります
先の大戦でバトルオブブリテンの仕返しとばかりに情けないイギリス空軍が涙目のドイツ帝国に報復的空襲を開始した時に真っ先に標的になったのがこのリューベックなのでした。
街の名前は覚えていなかったものの、当時の空襲の記録映像で燃えながら崩れ落ちて行くこの教会の特徴的な姿が強く印象に残っていたのでした
何か運命を感じた自分は、この教会近くのレストランで夕食を摂ってみたのですが安定のクソ不味さにドイツに来たことを実感するのみでした
次の日キール市に入り目的のドイツ海軍記念館に到着しました。
駐車場に車を停め、近くの屋台みたいなところで入場チケットを買ってから砂浜にドーンと鎮座しているUボートにお邪魔します。
艦の横っ腹に2カ所の出入口が開けられていて、船首側から入って船尾側から出るようです
中に入ると、とにかく狭いことが判りました。魚雷や配管や各種設備が壁から天井までぎっしり詰まっていて内部空間はアポロ時代の宇宙船のよう。
当時乗員は約30名だったらしいのですが、航海が始まれば数週間から数ヶ月
全員がずっとこの中で生活していたというのがとても信じられない
ベッドは10床くらいしか無く、3交代か何かで寝ていたのだと思いますがベッド自体も簡素で非常に小さく、小柄な自分でも安眠は難しそうなサイズで、体格の良いドイツ人クルーがどのような寝相で寝ていたかは今となっては謎です。
さらに巨大なディーゼルエンジンが近くにあり、さぞかし臭くてうるさかっただろうと思います
当時の潜水艦に使われた計器の一つで、前進や停止などの指令を伝える装置があるのですが、これは司令官が操作すると、潜水艦内の各場所にある壁掛け時計のような計器の針が同期して文字盤に書いてある指令位置を指すため、大声を出さなくても指令が皆に行き渡るというものです。
音を出してはいけない潜水艦には大切な設備です
自分は何よりもこの計器の実物を見たかったので感動でした。
思っていたよりも大きかった文字盤には「停止」「大きく前進」「半分前進」
「小さく前進」「潜行」など各種指令が確認できました。
この艦の針が指していたのは「注意(Achtung)」でした、この艦の最後に何があったのでしょうか
700隻以上が連合軍に撃沈されたというから、2万人くらいがこの狭い潜水艦内で死んだと思われます。
まさに水中を走る棺桶でした、合掌
written by Pectin, Mar-2008
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