第2話 曽川映子の再婚
もう一人、恋に
曽川映子は、東郷警備保障まで行った。自分の株式を東郷平九郎に贈与するという提案したのだ。東郷を社長にするという事だ。しかし、東郷平九郎は、
「私は、今の東郷警備保障で十分だ。大きな会社をやったこともない。迷惑だ」
と、けんもほろろだった。曽川映子は、
「私の会社
「要らないね。後10年経ったら95歳だ。それまで稼ぐだけだ。葬式代だけあったらいい。子供もいないし、親戚もないからな。そう云えば葬式代も要らないか。火葬代だけだ。もし、来たかったら、
曽川映子は、トボトボと帰って行った。だが、後で、パート事務員のポスターが張っていたことを覚えていたのだ。
その日から一週間、メディアから「曽川急便がラッキースター運送に吸収合併される」というニュースが出たのだ。テレビでは、曽川映子とジミー・ラッキースター7世の二人で記者会見をしていた。
記者の一人が、
「何処にもそのような話は無かったですね? 何時からどの様にして合併の話が出たんですね?」
ジミー・ラッキースター7世は、
「一週間ほど前に電話があったんですね。誰かがいたずらかと思いました。ですが、ミス映子から直接でした」
「わたくし、家族も子供もいないでしょ。会社をどうするかって思ってたんですよ、ムフフムフフ……、ラッキースター運輸もありかなって……、それで、ジミー会長に電話して……ラッキースター運輸だったら会社の社員にもメリット的には良いかもって、ムフフ」
記者の一人が、
「吸収合併となると、5兆円ですね。どうするんですか?」
「全部寄付します。現在67歳ですから、あと三年で年金生活になりますのでそれまで働くことになりますね、ムフフ」
ジミー・ラッキースター7世は、
「ミス映子には70歳までは社長でいいと云ったんですが、何か
記者会見は、すぐに終わった。だが、5兆円の大型合併のニュースは、世界中に広まっている。合併の交渉などは、仲介人、元CIA副長官ディック・スモーラー・ジュニアがやっている。仲介手数料などは100億円となる予定だとある。
あるその日、曽川映子は、東郷警備保障の前にたたずんでいた。薄い化粧で、服装も地味だった。そのバックも茶色の合成皮でその中には履歴書があった。三分ほどし、気を決して東郷警備保障の引き戸を開けた。
社長の東郷平九郎は、曽川映子を雇った。事務員だった。
「ところで、住所は何処だ?」
曽川映子は、
「住む処も、お金もないの」
「無い?」
「何もかも捨てて、
「……」
という訳で、Gこと東郷平九郎と曽川映子の二人の同棲が始まったのだ。
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