第6話 感想パート2

 目で見た感想だけでは飽き足らず尻を叩いた感想まで聞き出そうとする大岡さん。


 しかしさすがにそんな感想はほとんどない。


 叩きやすかったとか叩き心地が良かったとかが感想なのだろうが、尻を叩くことにそれほどの感情を込めてはいない。


 言うなればそこに尻があったから叩いただけで、半ば反射的に叩いてしまっただけなのだ。


「あれっ、そこは出ないんだね。もう覚えてないの?忘れちゃった?」


「忘れたい記憶でもあるからね。このままきれいさっぱり忘れたかった」


「だめだめ。それならもっと脳裏に焼きつくくらい見てよ」


 突然立ち上がり背中をこちらに向けた。


 まさかとは思うが、今ここで尻を出したりはしないよ……な。


「───あっ、そだ今日は穏やかにするんだった。ごめんね、スカートは捲れないや」


 スカートの裾を手で掴んだ直後に、思い出したかのようにパンツルールに従って捲ることをやめた。


 思いのほかパンツの色は彼女にとって大事なもののようだ。


「それはむしろこちらからありがとうと言いたいけど………えっと、何してんの」


 スカートの前部分を引っ張って、尻をスカートに密着させている。


 そのせいで尻のシルエットがくっきりと見えた。


「これで形は分かるでしょ。スカートの下からシリエット」


 自信に満ちた顔で尻とシルエットをかけてボケ出した。


 そんな低俗なボケに突っ込めるほどの実力は持ち合わせていない。


「はい、どーぞ佐伯くん」


 尻を突き出して前屈みの体勢になりながらスカートを引っ張りシルエットを作り出している大岡さん。


「………スカート越しに叩けと?」


「そう言ってるじゃんっ。叩いたらちゃんと感想聞かせてねっ!」


 なぜそこまでして感想を聞き出したいのか謎が深まるばかり。


 生肌が完全に隠れた状態なのにも関わらず、スカートが密着した尻の方がよりエッチさが増している。


 パンツを履いただけの尻もなかなか好みなのだが、こうして見ると服を着た尻も悪くない。


 心なしか目の前の尻が僅かに躍動しているように見える。


 叩かれるのを待ちわびているのだろうか。


 叩かなければ終わらないこの状況で、俺は決心をつけて手を振り上げて尻にめがけて振り下ろした。


 公園で叩いた時と同等くらいの力で叩いた。


「んぁっ……もっと強く叩いていいよ佐伯くん。スカートを履いてる分だけ刺激が弱いから」


「そ、そうか……?」


 彼女の要望に応えるように、俺はさらに力を込めて手を振り下ろした。


「んんっ//もっと……もっとちょうだいっ」


 二発目、三発目と大岡さんから求められただけ俺は力を増しながら叩き続けた。


「ああっ……//あんっ、ああぁんっっ///」


 力を込めた分だけ喘ぎ声が迫力を増していくのは少し面白くもあるが、どう見ても目的から外れている。


 彼女は一人で叩かれることを喜んでいるし、俺は俺で尻を叩いたところで何も感想が浮かんでこない。


 尻とは関係なくなってしまうが、叩くたびに明確な反応があることにやりがい的なものを感じる。


「一旦やめようか、大岡さん。弁当の中もまだ残ってるし、昼休みが終わっちゃう」


「へ………?あ、あぁ、うん、そうだねそうしよっか」


 尻叩きを中断して食事を再開する。


 異性の尻を叩くことは決してエロではないので、俺と彼女の間に変な空気もない。


「あの夜の公園で佐伯くんに分からせられたけどさ、お尻ってエッチだけどそれ以上にはならないよねっ」


 おにぎりを頬張りながら何気なく俺を巻き込んでくる大岡さん。


「……つまり俺が大岡さんの尻を叩いて変えてしまったのか」


「いやぁ、お尻を叩かれることがこんなにも気持ちのいいことだったなんて知らなかったよっ」


 屈託のない笑みで純粋さのかけらもないことを言い放った。


 知ってしまったものは仕方がないが、できることならこれ以上大岡さんを汚したくはない。


 覚醒させてしまった責任はこの身をもって全力で受けよう。


 どうか尻を叩かれることの快感だけで留めてもらいたい。


「それで佐伯くんっ、私のお尻を叩いた感想はっ!」


「とても気持ちよかったです」

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夜の公園で丸出しにされていた尻を叩いたらクラスの金髪ギャルだった はるのはるか @nchnngh

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