1548年 家操15歳 引っ越し 塩作り
「信長様」
「なんだ鶴?」
引っ越し準備をしているある日、俺は信長様に竹千代の事でお願いをした。
「竹千代様を水野様の所にいる母君と過ごさせることはできないでしょうか……このまま織田で抱えるのも今の三河では扱いが困るでしょうに」
「うむ……余から親父殿に聞いてみることにしよう」
信秀も竹千代の扱いに困っていたらしく、母方の実家である水野家に竹千代は移動することになった。
これで竹千代様は母君と行動するようになり、俺は竹千代様に会うには水野様と仲良くなる必要が出てくるのであった。
俺はとりあえず引っ越す前に常滑の大野村がどんなところなのか確認しに向かった。
「パット見普通の漁村と田畑のある村だな……粘土が沢山産出するから焼き物を作っても良いかもな」
蜂蜜作りには少し適さないかなと思い、椎茸は頑張れば作れそうである。
「製塩も工夫すればできそうな環境だな。とりあえず小さかった工場系はこっちで大規模にして……」
領地の検分を進めていく。
不規則な田畑の規格化等もしなければとやることは多い。
「とりあえずアニキ達を呼ぶのはもう少し体制が固まってからにしよう。まずは大黒兄さんと協力して牛や農具等を集めるところからか」
俺は行動を開始するのであった。
「ここが家操の領土!!」
「これからは長屋じゃなくて屋敷に住めるからね!」
智や秀吉、手足となる中村出身の30名と足軽70名を引き連れて大野村に移住した。
村長や村の衆を集め
「新たに領主となった内葉家操です。まず私が領主になったからには皆さんを豊かな生活を送ることができることを約束しましょう。ただし俺の命令には従ってもらうぞ」
「どのようにして豊かにするのでしょうか」
「うむ、まずは年貢を下げよう。今年は四公六民で税を取り決める」
そう言うとおお! と声が上がる。
現在の税率は六公四民だったので二割も民の割合が増えるとなれば歓声が上がる。
「しかし、私の言う事には従ってもらうぞ」
と言い、減税の代わりに検地を行うことを発表した。
そして100人も兵を遊ばせておくのは勿体ないので土木工事を敢行し、熱田から船が来れる港の整備を開始するのであった。
秀吉に港の建設の設計を書いた図面を渡し、兵達を渡して工事を行っている間に、計算ができる人達で検地を行っていく。
普通検地を行うとなると反発が出るのだが、大幅な減税を餌に検地を行っていき、信秀様から1000石と言われたが、実質石高は800石程度しかないことや村人の数も700人ほどしか居ないことが判明した。
しかしまだ開墾できる土地が多くあり、そこを開発できれば大きな利益になるだろう。
「多聞丸」
「はい!」
「家畜の扱いに長ける者を集めてこい。一人につき2貫と出来高の報酬で支払う」
「わかりました。甲賀の里に家畜の扱いに長ける者達は多く居ますので呼んでまいります」
「出来れば20人ほどほしい。家族連れでも結構だ」
「は!」
恐らく2ヶ月はかかるだろうからその間に牧場の整備もしないとな。
ただまずは田植えの準備をしないとか。
「村の代表をまた集めてくれ」
村の代表を集め、現代種の種籾を配る。
「これは病気や雨風に強い種籾で、今年はこれを使って栽培してもらいたい」
ざわざわと不安の声が上がる。
「流石に全ての種籾を使うのは不安だと思うので半分をこの種籾、残り半分は通常の種籾で構わない。もし不作だった場合には更に1割税を減らすことを約束しよう」
そう言うと誰も文句は無く、種籾を受け取っていった。
今年は農法の変更までは行わずに通常のやり方で種籾だけ交換に済ませた。
その他、有り余る金を使い、人夫を雇って牧場を建築したり、水車小屋を30基も建築し、精油工場用や製粉、脱穀、精米、木材加工、鞴の送風等様々な動力源として使う予定だ。
工場の移設を行ったり、兵達の長屋を建設したり、井戸を掘ったりをしてどんどん村を拡張していっていた。
「水野様、この度隣の領主となりました内葉家操でございます」
「おお、お主が鉄砲家操か! 小豆坂での戦働きは聞いているぞ」
「ありがとうございます」
「領土が隣となったからには色々な付き合いが出てくると思うがよろしく頼むぞ」
「はい! 水野様の領地にて色々買い物をしたいと考えております。売買の許可だけでもいただけないでしょうか……これはつまらない物ですが」
俺はそう言って石鹸の詰め合わせと少しばかりの銭束を出す。
「ほほっ! これはこれは! 家操殿とは仲良くやれそうだ。良い良い許可を出そう」
「ありがとうございます」
「なに、織田家が三河を治めているお陰で水野領は外敵に晒される心配が無くなった。これからは内政に注力することができるというものよ」
「そうですね! 互いに領地を富ませていきましょう……それと竹千代様なのですがお元気ですか?」
「ああ、母親と過ごすようになってからよく甘えるようになっているぞ」
「それは良かった。お元気そうなら何よりです」
近隣領主への挨拶回りを行い、元々知り合いだった那古野城の重臣方やお世話になった人達への挨拶も行い……なかなか忙しい毎日を送っていた。
智も無事に妊娠し、お腹が少し大きくなってきていた。
こうなると性行為が出来ないので溜まった性欲はオナホールで解消しているが、女の味を知ってしまった以上オナホールよりも俺は女を抱きたくなる。
「とと、我慢我慢」
性欲は食事と運動で発散する。
牧場が完成したら大黒兄さんから紹介してもらった牛屋から牛を買えるだけ購入し、多聞丸が連れてきた動物の世話が上手い人達に牛を預けて繁殖してもらっている。
牛は乳牛として使いながら、あとは農耕牛……労働力として扱う。
肉専用にできるほど生活に余裕は無い。
馬も一緒に購入し、馬は物資の輸送や合戦で使用する為、牛よりも大切に扱われ、時折乗馬の訓練を時間を見つけて行ったりもしていた。
港の工事は夏頃に完成し、続いて製塩所の建造に入る。
ホームセンターにあった資材を使いポンプを作成し、それを風車に連結して海水を汲み上げて、それを流下式塩田……竹を組んだ傘型の施設に海水を垂らして日光の力で何度も蒸発させていき、出来上がったかん水を釜で熱して塩を作る方法の施設を建造した。
かん水は麺を作る時にも使えるし、塩を作る時に出るにがりは豆乳を豆腐に変える凝固剤としても使える。
収穫期になる前に製塩所が完成し、稼働を開始したが、燃料代を加味しても晴れた日なら1日に250升(1升1.8キロ)以上の塩を製塩し、2貫近くの利益を出し続けてくれた。
生産された塩は全て大黒屋の関係店舗に卸して、大黒兄さんも大量の塩が尾張の市場に出回れば市場の価格が暴落し、塩座の連中が激怒すると思ったので畿内に転売を行い、輸送費を加味しても、利益を出したのだった。
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