初陣の章
1548年 家操15歳 合戦準備
1548年 家操15歳
天文の乱終結
第二次小豆坂の戦い
織田信長、斎藤道三の娘濃姫と結婚
『やっほー元気かい?』
「あ、神様、お久しぶりです。3年……いや4年ぶりですかね?」
『うんうん、それぐらいだね。いや~時が経つのは早いねぇ』
「今回も天啓ですか?」
『そうそう。今年は君に死相が出ているからね。跳ね返すためにも天啓をね』
「死相って……ずいぶんと物騒ですね」
『こほん、今年は第二次小豆坂の戦いがあるよ』
「第二次小豆坂……思い出しました。今川と織田が戦って織田がこてんぱんにやられた戦でしたっけ」
『そうそう。で、君はこの戦で手柄を立てるか死ぬかのどちらかの未来が見えたからこうして天啓を与えに来たんだよ』
「では小豆坂の地形を調べたり、色々と準備を進めさせてもらいます」
『うん、頑張って生き延びるんだよ』
神様はそう言って言葉が聞こえなくなった。
「小豆坂か……多聞丸! 多聞丸!」
俺は多聞丸に小豆坂周辺の地形を教えてもらうように頼むのだった。
敵国なので織田家臣の俺が小豆坂に行くのは問題であるが、多聞丸達忍びなら問題はない。
調べてみると小高い丘と池が幾つかある場所で特に沼地というわけでもなく双方5000から1万程度は対峙できる広さがあった。
小豆坂の近くは岡崎城が最前線で詰城として安祥城があり、そこには信長のお兄さんの織田信広が守っていた。
ただ今川がどれぐらいの兵数を送り込んでくるか不明であり、俺も動かせる兵数が100名なので大局への影響は少ないだろうと考えた。
まぁやることはやるが……。
その前に織田信秀は美濃方面の守りを固める為に息子の信長と斎藤道三の娘の濃姫との結婚を取り付け、婚姻関係で同盟まで持っていった。
これで北の防御は安泰になったが、下剋上で成り上がった者と同盟を組んだことで織田家も同列に見られて威信が低下した。(信秀が生きている間は大丈夫でしょう)
北が大丈夫になったため、松平の息の根を止めるために織田家で動員が開始されるのであった。
「大戦になるかもしれないから智、子供を作っておこう!」
「やったぁ! やっと子作りできる!」
というわけでオギノ式で当たりやすい日に集中しておせっせしまくり、子作りをした。
当たったかどうかは数ヶ月後にわかります。
なお当たったかわからないので数ヶ月は交尾を続けるのであったが、俺の体力に智がついていけずに
「偉くなったら必ず側室を娶って。なんなら石鹸工場の娘達でも良いから」
と側室や妾の許可を頂いた。
俺的にはそんな激しくしたつもりはないんだが、回数が回数だったからか?
抜かずに8発はやりすぎたかもしれないが……。
招集前に訓練で現状の俺の部隊の練度を確認することにしよう。
まず集団行動と一斉掃射はできるようになった。
これで部隊の急な方向転換が可能になる。
一斉掃射は文字通り一斉に発砲することで、練習で行った際には発砲音が連続して機関銃の様な音になっていた。
ただあまりに密集すると発砲時に火薬が舞った際に火傷やその火薬に予備弾薬に引火する可能性があるのであれば1メートルほど間隔を空ける必要がある。
まぁしゃがみ撃ちと立ち撃ちでジグザグにすることでその間隔をある程度詰めることも可能になった。
また早合を用いることで普通装填に1分かかっていたのを30秒、上手い人は20秒に短縮し、装填することが可能になっていた。
普通の2倍の速度で放てるので隙が少なくなったていた。
銃の方も、全部の鉄砲がポリゴナルライフリングが施され、弾丸もミニエー弾を使用することで射程が3倍に伸び、有効射程が300メートルにまで伸びていた。
掃射と組み合わせれば近づいてくるまでに5発は弾丸を放つことができる寸法である。
実戦でない訓練なのであくまで理論値であるが、同等の成果を上げることができるだろう。
ちなみに飛ばすだげなら600メートル以上弾丸は飛んでいくが、狙う事が出来ないのである程度引き付ける必要があった。
「鹿之助さんどうです?」
「弓から鉄砲に切り替えるのには最初抵抗があったが、慣れればこっちの方が威力は絶大だね。訓練時間も短くて済むし」
ちなみに俺の部隊は殆どが20歳以下の若年兵部隊で、俺の指揮がしやすいように年齢を揃えた。
また10人1班の班長を形成することで通常の足軽組頭、足軽大将の役割を擬似的に再現。
俺は立場は足軽なので信長様から100人の命令権があってもこうしないと指揮することができないのだ。
で、俺は金をかけて鉄砲用の武具を用意し、銃ほ肩当て部分を改良したり、鎧の方も改良して射撃時の安定性が高いように改造を施した。
そして近接武器としてスコップも皆に配る。
防具は黒く色を塗り、部隊がわかりやすいように統一感を持たせた。
新品の防具や農具としても使えるスコップを貰えたことで足軽達は喜び、士気も上がる。
そして運命の合戦が近づくのだった。
「これでよしっと」
「本当に良いのか?」
「ああ、もし俺が亡くなったら利権が宙ぶらりんになる方が問題だからな」
俺は伊達アニキと大黒兄さんを呼んで、もし俺が戦等で亡くなった場合、利権を伊達のアニキに譲歩する事を取り決めた。
「なに、死ぬつもりはねぇけど、責任者が誰もいなくなって大黒兄さん以外に俺の利権を掠め取られるのは嫌だし、アニキには色々支えてもらったからな。これで俺が何か起こってもアニキが代表として工場は守れる」
「それくらい次の戦は厳しいのか?」
「占い師に死相が見えるとも言われた。生き残れば英雄……五分五分と見ている」
「そうか……家操でそれならばだいぶ厳しい戦なんだろうな」
少し場が暗くなる。
「アニキ、大黒兄さん、俺に何かあったら智を頼みます。智の腹には俺の子が宿っていますので」
「本当か!」
「沢山仕込んだので出来てなかったら俺は種無しです。月物が来てないらしいので恐らくは」
「智ちゃんをなかせない為にも家操、元気に帰ってこいよ」
「……わかってますよ」
全ての準備を整え、俺は招集に応えるのであった。
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