第17話

その時、後ろで何かが壁にぶち当たるような音が聞こえた。



けれど振り返って真っ先に目に映ったのは半裸の“マキ”。ぎょっとすると彼はきょとんとした顔で「何?」と笑う。




「ふ……っくは」



「さあ?「イチ?どうしたの尻もちついて」



「?」





“イチ”?





マキにでも私にでもキオにでもない、他の誰かに呼び掛けたような声が――私がさっき曲がってきた角の向こうから聞こえてきた。




「ろ、ロウ……ッ立てな……」


「えっ何で、凄く震えてるけど」


「い、いま、お、おお女の顔が見え――オエェ」


「しっかり!!」




角を曲がったところでは、どうやら“ロウ”、“イチ”という名の人が会話しているらしい。



まだ男の人が。





「ロウ」



「え……う、ん?」

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