第15話

何だかふわふわした気持ちでそのバスタオルを身体に巻いた後もう一枚、棚から探り当てた短めのタオルを髪に巻き。



音も立てないようにドアを開け、爪先を廊下に着地させた。



ひんやりとした感触から逃れるようにもう片方の爪先も、着地。




立ち回って左右にひと気がないか確認すると、右手を少し行った所にあるドアの向こうから明かりと、かすかな声が漏れていることに気が付いた。




途端に息を殺して抜き足差し足を開始する。





左手に向かって、角を更に左へ。



四方八方に注意を配りながら玄関を目指す。




すると、開けっ放しで入ってきた筈のドアは閉められていて、そこに投げられた黒く大きなバックパックは姿を消していた。




「エッ」



小さく零した疑問。



靴の置き場の縁まで寄ってしゃがみ込んだ、その時。






「無防備すぎ」

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