第11話

駆……?




「へーき。ハノ、良い匂いする」



寄せられた顔に、思わず頬が染まりそうになった。




「そ、そちらの方が良い匂いで……」



「あ?」



あ?って。もしかして自覚ないのかな。



鼻先を自らの肩口に寄せ、不思議そうな表情を見せた後体勢を変えられて今度は抱っこされ、彼の淡茶の髪に負けないくらい色素の薄い眸が近くなった。




「ま、どーでもいいけど」



私を見上げて、弧を描く口元。




「一緒にお風呂入る?」





「…………ん?」





そういえばこの人、さっき玄関の外で会った時、どうして目を瞑って目の前にいたのだろう。



それから、そうだ。名前すら聞いていない。


嘘吐きの印象が強い眸を見下ろす。






というか此処は何の為の洋館で。




彼らは私に何の関係があるのだろう。





「ハノ。これからよろしく。俺らを“喰って”」



「な、に、喰?」



「うん。多分俺ら7人だけど、皆上手に愛して。ね。“オオカミ”さん」





はい?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る