第7話

腕時計を目にする。




彼が誰だったのか明確にならないまま閉め出され、扉の横に腰を下ろし、とりあえず膝を抱えだしてから一時間以上が経過していた。



住人、なのかな。


こんな大きな屋敷にひとり?



考えたところで検討もつかない疑問を追い回す。





ふと見渡した時には暗がりの中だったけど、森のマイナスイオン効果か貪欲な喰らい付き精神のおかげか不安はなかった。



時々膝に止まる見たことのない虫に目を凝らしていたくらいだ。





流石に野宿を決める前にもう一度ノックしてみようという考えが過ぎる頃、丁度日差しと遠出の疲れが動かない身体に回って、頭がぐらついた。



はっとして首を横に振って、ぐらついて、はっとして手の甲を叩いて、ぐらついて。


三度目にはもう、夢の中へと吸い込まれていく。






「なぁ」

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