第6話

五センチから十センチほどに変わる隙間。



物凄い眉間の皺も披露され、固まる私。




それでも釘付けになったのは、銀河みたいに深い銀色をした髪と朱い眸で。



恐らく一般的なサイズのマスクが大きく見えるくらい整った小顔をしている彼。




「……汚ぇんだよ」



「ほ」



罵倒は続き、言葉が出てこなかった。声は出たけど。



何と反応したらいいのか分からず言葉にならなかった。





「臭いし汚いしキモイ。最悪。兎に角キモイ」





兎に角キモイ。



な、泣きそうだ。




「帰れ」


「エ」



「それは」と言い掛けたところで、目の前、重そうなドアは大きな音を立てて閉じられた。



私、ほとエとそれはしか言っていない。何という一方的な。しかも本気で閉め出されてしまった様。




だって今、思い切り鍵掛ける音……。うん、やっぱり、怪しかったかな。臭いみたいだし、汚いし、キモイしね。



ごめんなさい……。

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