第7話
「私、何かしちゃったのかなって思ったんだけど、何も分からなくて…」
手の平で一生懸命、零れ落ちる涙をぬぐいながら言う梨花。
隠すようにしているけど、もうずっと手遅れ。
バレバレ。
「…っ。私が、素直にならないから、もう呆れたのかなって…」
俺はその場で立ち止まった。
……可愛すぎ。
微笑んでしまいそうになるのを手の甲で覆い隠す。
梨花は俺が立ち止まってからも3歩ほど前まで歩き、立ち止まった。
振り向かなかった。
俺は梨花の背中を見つめる。
小さな背中が震えながら泣いている。
――ほんと、可愛い。
俺は心内で数える。
(俺がどこまで我慢できるかを、)
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