第22話
それに気付かなかったのはあたしで。
気付けなかったのもあたしで。
毎朝、そうやってあたしを。
後ろからあんなに、大事そうな目で見ていたのかなって
思うと、楓は寂しそうで。
切なそうで。
楓は小さい頃から、『大好きなもの』には
同じ笑顔を向ける。
―アイスとか。
―柔らかいクッションとか。
…あたしは。
あたしはいつも、楓の『大好きなもの』だった――…。
――――――――……
亜子は風が柔らかく吹く中で、俺を見上げながら泣いていた。
「でも、楓、言ってたよ…」
震える声で携帯に向かって言う。
「『亜子に好きって言われるやつは可哀想だ』って言った…」
「!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます