第18話

「ヤメロ」


ぐいっと俺の額を手で押して、顔を顰める颯。




「颯も絶対実るから頑張れよ?」


「…言われなくても」



颯は黄色い声援を押し切るように、フンッと笑った。



相変わらず、Sだけど。


相変わらず、モテるけど。



勇気、貰った。




「さんきゅ」


「ん。家帰ったら、良い結果しか聞かねーから」



「…ん」



何か、それだけで言える気がする。俺は、下校のチャイムが鳴ると同時に走り出した。





――生まれて。


目を開けて、初めて会って。




それで、ここまで好きになった。





『双子だ』そう騒がれるのが嫌で泣くと


『いいなあ、双子!』って、いっつもさりげなく慰めに来た。




颯と喧嘩したらいつだって


『はい仲直りしよ』って、無理矢理にでも握手させられた。





嫌いなときなんてなかった。



「好き」が当たり前だった。

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