双子の兄

第17話

「あ、いたいた。颯」


「なに」



「俺が何で来たか分かる?」


「分かる。どうせ亜子姉だろ」



「!」



俺は颯の教室まで言って呼び止めた。席に座る颯の前に立ち、机に手をつく。



「やっぱ図星なんだ?」


「…うう」



「で、何?」




「颯さ、梨花のこと好きじゃん?」



俺が言った“梨花”という言葉に、颯は耳をピク、と動かした。


「…呼び捨てにすんな」



俺はその言葉に心内で笑う。


「はいはい」



何で自分の好きな人を他の奴に呼び捨てにされると、イラッとするんだろうな?



「じゃなくて、俺さ、“楓なんて弟じゃん”って言われて」


「?だから?」


「え?」


「弟じゃねぇじゃん、楓は。亜子姉の弟は太郎じゃん。…関係ないよな?」



「っ颯…!」



気ダルそうに椅子に腰掛ける颯に、俺は抱きつこうとする。



周りでは双子が揃うと何がいいのか、キャーキャーと女子が煩い。

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