第12話
「…あ」
楓は、一軒家の通りで待っていた。
楓にはあたしが追いかけてくるって分かっていたようで、悔しさに似た恥ずかしさがこみ上げる。
「あいつ何?」
楓は今まで聞いたことのないような冷たい声で、あたしに問うた。
あたしはその声に少し驚きながらも、平静を装う。
「あ「告白された、とか?」
言葉を遮り、楓は壁に寄りかかりながら冷たい眸であたしを見下ろした。
――楓。
いつの間に背が伸びた…?
楓の影は、もうあと三年もすれば、あたしをすっぽりと包み込んでしまいそうだった。
「いや、あたしもよく分か…」
あたしは落ちてくる汗を拭って、ぽつりと呟いた。
楓はそれを明らかに信じていないというように、ふ、と鼻で笑った。
「な…!?」
…いつもの楓と違う。
今はなんだか――…怖い…。
グ、と奥歯をかみ締めて楓を見た。
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