第10話

小さく呼びかけて、楓の所に向かおうとした時。



あたしでない誰かが彼に声をかけた。


「誰かこの学校の人探してるの?」



「!」


あたしの前で胸のでかい先輩が楓に声をかけた。


「亜子、あたし帰ってるよ?」

楓を見て知り合いだと察して友だちは先に帰路につく。




…何となくまた、ムッ。



どーせあたしは胸が小さいで・す・よ!


楓のバーカ!



ほんと馬鹿…。



あたしは楓が胸デカ先輩に話しかけられているうちに、こっそり早足で横を通りすぎた。





「亜子、」




そう呼び止められて振り向いて、ちょっとだけ、心のどこかで楓が呼んだんじゃないかと期待した自分が恥ずかしくなる。



「え、と」


それは、確か前回同じクラスで、今は隣のクラスの男子。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る