可哀想?

第8話

「な、太郎?お前の姉ちゃんって」



そこまで言って、俺はふと溜め息を付く。




「ん、姉ちゃんがなんかあんの?」



机を抱きしめて見上げる俺に、太郎は暑そうに汗を拭いながら眉を顰める。




「あー。ムカつくくらいそっくり、亜子と太郎」



「へ?…いや、つうか顔ならお前と颯の方がそっくりじゃん」


「そりゃあ…双子だもん」




颯とは顔もそっくりだし、何もかも同じ。



いや、ちがう。


性格は似ても似つかないかな。



あと雰囲気も違うって言われるし。




でも、俺のが弟らしい。




…秒単位で。何でだ。





「太郎は、なんだろうな。何か、雰囲気が似てるんだよな。目…目かな?眉毛?わかんね」


「眉毛って。何かあった?姉ちゃんと」


「あ。そういうところかもしんない、似てんの」


「どこ」



「お節介なとこ?」


ニヒヒ、と笑う俺の頭を小突く太郎。よく見ると口を尖らせている。


「折角心配してやってんのに」


「ごめんごめん」




…実際ほんとなんだけど。

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