第5話

勿論、俺には目もくれず。




「ん?楓、迎えに来てくれたわよ?」



おばさんが固まる俺を不思議そうに見て、亜子に声をかける。


亜子はくる、と振り返った。




「楓バーカ!」





おばさんはへぇ、と悪戯っぽく俺を見た。


「あら、喧嘩しちゃったんだ。ふふふ」



もう日常茶飯事ね。



そう言うように。




「おばさんね、楓になら、安心して亜子を渡せるんだけどなー」



「っ、へ!?」



俺の頬は無意識に一気に染まる。



コソッと俺に耳打ちをして、優しく微笑むおばさん。




この笑顔は、きっと亜子が引き継いでる。





「え、えと…、遠慮なく亜子貰います!!」

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