第124話
もう少し近ければ彼女の小さな手が震えていたことに気付いたかもしれない。
ボクが本棚ふたつぶんほど離れたところから知り得たのは、すぅとそっと息を吸って、留めた、静かな図書館に響くには充分な彼女の深呼吸。
吐かれる音はいつの間にか聞こえなかったけど。
その白い封筒から中身の、これまた同じく白い便箋が取り出されるまでにえらく時間がかかったように思える。
その間彼女から視線を外さなかったボクはただただ小さいな、と。
そんなことを思っていた。
やっと開かれたたった一枚。
ボクはその時目にした彼女の微笑みを、その後忘れられなくなる。
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