第119話

外で、ウンと聞き返す教え子の言葉がしていた。


ボクの頭にはまさかと思う予感と背中に冷や汗が伝っていた。




ボクと、≪オナジトコロケガシテテ≫。



≪スッゴクイタソウデ≫――。




『痛そう―』



…まさか。



「あの、さ」


「ウン」


「カン、ナ、ちゃん?ってお……」


「オ?」


「お……兄さん、とか「え!?何で知ってるの?知り合い!?」


「…………。う、うん」


汚い泥塗れの靴の裏まで知っているような相手。の名前を知らないわけなかった。名乗るわけないのは当然だ。でも、絶対、誰かが無意識に名前を呼ぶ。それに気付いたのはボクだけ。



早速。



「えーどっちー?かんなちゃんのお兄ちゃんってふたりいるよね?めっちゃイケメンって誰かがいってたけどどっちと――」






『いもーと』。





「あれ、霙くん落ち込んだ?」




アイツ、この辺のバカ校に通っているのは知っていたけどまさか、まさかこんなことがあるなんて。



俯く外で、目を細めてにんまり笑う女子中学生(ガ キ)。


親友かあ。



「大丈夫だよ。私的には霙くんの方がタイプ~」




そういわれて伏せていた視線を上げた。




「…。なら、キスしていい」

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