第114話

そんな表情を残した相良を追いかけて辿りついた先は食堂だった。




へぇ。



俺の言葉を信じないか、それ以前にどうであれ関係ないって態度も予想範囲内だったけど『緩菜』って聞けばいくんだ。


どうなるか行方を見守ろうと、昼のピークを過ぎて閑散としている廊下の壁に身を寄せた時。



壁伝いに響いた鈍い音があった。




「…“部下”に何した?」



据った眼が横顔から覗く。低い低い…相良の声。人を殴ったことがあるとは思えない手の先が、目を見張る梅ノ宮サンの胸元に伸びていた。



そして、「っ」と歯を食い縛る空気が零れる。




「…えい、と」





……。






「何」



「…殴、らないでくださいお願いしま…」






――予想が当たった。






「…“瑛都”?」




梅ノ宮サンにかけたカマが正解だったと悟った瞬間、更に驚いたのはその名を聞いてその名で怯える梅ノ宮サンの目の前で、何故か、


笑んだ相良。

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