第113話
「相良ー」
会社裏。
喫煙室から少し離れた所に相良の姿を見つけた。
「お疲れ様ですー」
ちら、と上げた相良の視線が今までのそれと違う事に気付く。
それでも、今はもっと他にあるから。
本人は普段通りのつもりだろうけど、隠しきれてない感情があった。
「ミズキくん珍しいね、ここに」
「珍しいのは相良のほーう。煙草咥えて」
「あー…」
苦笑して座り込む相良に続いて座るとふわりと苦い苦い煙の匂いが漂い、同時に灯ちゃんの言葉が思い出される。
『どうしてだろう、“優等生”とは違う』
「んー…。ね、相良」
「ん?」
「緩菜ちゃん、また梅ノ宮さんに手出されてたよ。今」
「……」
相良の眸が一度、沈む。
温度のない煙草がコンクリートの地面に押さえつけられて、火を消す。
立ち上がった相良が苦しそうな笑みを浮かべたような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます