第112話

「は。同い年の阿部朝希さんもその一つ上の兄、阿部瑛都さんも、貴章やその梅ノ宮?の次男が在学していたとき青桐学園の生徒でもないんですよね?そもそもどうして関係があるんです」



「河合ちゃん」


向き直ると、向かい席の河合ちゃんが凛とした目元だけでこちらを見ていた。


いつの間に。



というかいつから。



「忍者河合…」


櫻井さんが何故か台詞に見合わぬ笑顔で河合ちゃんを迎えた。



「聖ー?さっき灯ちゃんに言われた『外面』気にするのやめなよぅー」



「え?何が瑞樹?」


「逆に怖いです櫻井さん」


「…」


「みーずき。“いつもの櫻井さんで良いです♡”っていう可愛い後輩の遠回りな愛情表現だから」


「…」



櫻井さんが黙って、河合ちゃんが黙った。


何だか似たところを見たふたりともを甘やかした高橋さんが話を繋ぐ。



「それで梅ノ宮サンと阿部瑛都?にはどんな関係があったの」


「……」



「聖?」



櫻井さんはちらりと私たちを見、口を閉じた。



何か言いづらいことでも聞いたのだろうか。



同じくその様子を見ていた高橋さん、




「…じゃ俺、カマかけるね」



小さく笑った。




「カマ?」


「梅ノ宮さんに…ですよね」




「んー…梅ノ宮サン、と――――――






阿部 緩菜ちゃんに、かな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る