第99話
「ここにきて知らない情報があるとは」
「混乱するだろうね。けど相良とはそういう話してこなかったってだけでしょ。コネ入社とでも思われたくなかったんじゃない」
「・・・・・・」
肩身を狭くしたわたしのとなり、まさに過去わたしにコネ入社かと無い事を疑われた花吹さん。
彼は懐かしそうに「それだっていい想いでですよ」と身を寄せて、わたしは、ぶわり。
「花吹さんその節は」
「…ん?」
すっすきだ~~~~!!
「は…何より彼女はこのこと」
「知らないだろうな」
「っていうか云わねーだろ」
「貴章なら」
櫻井さん高橋さん河合ちゃん、と口を揃えた。
「それもそうですが!そろそろ貴章が企画ぶを追われた理由教えてください!?」
河合ちゃんは更に鬼気迫った表情で訴えかけ、高橋さんはそれに緩めた表情で口を開いた。
「……簡単に言うと、相良が拾った捨て猫がいけなかった。相良の家に転がり込んだ捨て猫が、相良に飼われていると本来の飼い主に告げ口した。相良は、それを否定もしなかったから肯定と受け取られて」
「すて、猫……?」
「ああ。〝捨て猫”」
「同棲していたということですね。そしてそれは、馬籠(まごめ)にみりのこと」
河合ちゃんが思い出したように言った。
高橋さんは、そういえばそんな名前だったなと少し恐い表情で。
ちらりと見た櫻井さんの表情にも変化が見られる。余程のことなのだろうと感じた。
ううん。
誰も、貴章のことだから。
「…とりあえず貴章のことが少し判れてよかったです。次は彼女のことですね」
河合ちゃんが静かにそういうと、代って櫻井さんがあ、と切り出す。
「あべさんのことはみゃーに聞いてもらうか」
「「「みゃー?」」」
私と花吹さんは勿論、河合ちゃんも知らない情報のよう。
「あべさんとキスしてたっていう男も気になるし…それは俺が行こう」
「俺も俺で気になることあったから、」
「…二人とも、嫌に頼もしいですね」
動き出す状況に河合ちゃんが引き気味に呟く。
目下の二人、高橋さんは「嫌には余計」と口を揃えにやりと口角を上げた――。
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