第98話
「相良貴章は、」
高橋さんはその容姿から想像されるよりずっと低い声で口を開いた。
「O型、29才。名家の長男である。幼少より当然の如く英才教育を受け幼稚舎から名門 青桐学園に通った。本人恵まれた環境に胡坐を掻くこともなくふつうの男として育ったが、高等部の頃、両親が引き取ったひとりの女の子を境に自分の家柄を隠すようになった。そ」「え?」
聞き返す。冗談ですかと。
「冗談だったら本の中の話みたいだよね」
「…ちょっ!!まっ、青桐って、色々驚きすぎて、貴章って」
「本物の王子様」
「〝本当は”、ね」
「え……!?」
高橋wikiさんが執事気取りで説明してくれた殆どが、貴章の口から聞いたこともない事ばかりだった。
「か、河合ちゃんは知って」
「ます、はい。企画ぶの情報網とは私のことですから殆どは知っていました、が――貴章のことに関しては(悔しいですが)この御二人の方が詳しいので。何故かというとこちらの櫻井様と高橋も名門 青桐学園のご出身であられます故」
「「えええええ」」
花吹さんと私は、震えた。
「…アイツは、家柄も良し見た目も良し、頭も…残念ながら良し。運動まで絵に描いたように万能だったから…。で、あの性格、だから。『王子様』」
あ、ああ……。(?)
分け隔てなく、と続けた高橋さんに「非の打ち所がないって本当にああいう人間のことを云うんですね」と河合ちゃんが淡々。
う、頷くしかないではないか……。
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