第64話

相良さんと一緒に、ベッドへおちる。


鎖によって繋がれているのだからあたり前のことだった。


どさりと咄嗟に着いてくれた相良さんの腕に抱きとめられて背中を打つことはなかったけれど、(ベッドだから打ち付けても全然平気)強く瞑った瞼を恐る恐る持ち上げれば、上には、勿論。




「…メイドさん、ごめんね」



相良さん、が。



髪を少し乱したまま舌をだしたかと思いきや、悪く眸を細めて魅せた。



わ、あ、あきれい……。



「わ、私が、ごめんなさいさがらさ」



ピンポーン



「はっ相良さん!」


「ん?」


「あの、ピンポンが」


「うん?」


「え」


退かない相良さんに硬直していると、玄関の方から、ドアが壊される音が聞こえてきた。



ドッ、ドドドドド。



異常な音がしている。


あれはきっと、ドリル。ドリルだ。ドリルが使用されている。



「……弟?」



「ごっごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!!」



土下座したい気持ちを持って返事の代わりに謝罪する。と、呆れたように起き上がった相良さんに腕を引かれ、そのままふわりと抱き上げられた。


「えええええ」


「軽い軽い」


そのまますたすたと玄関へ向かった相良さんは、私さえ震えている異常な音を立てるドアへ物怖じもせず触れた。

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