「ねーえ？けーさつさぁーん！」

「いるから。聞こえてるから」

心の中で、理性の二文字を繰り返し唱えているというのに。

絵に描いたような酔っぱらいは「い、る……？」と何か呟き、軽く胸を押してきた。

その時の瞳の色を、隠すように。

「は」

「あの、あの！あのあの！おっさん、けーさつさんのこと押し倒しちゃってもいいです？」

「……いや、もう押し倒さ「ありがとーございまする！！」

「……」

オイオイオイオイ理性理性理性理性。

理性の念仏再開するも上に跨った彼女は満足そうな笑みを浮かべてぼふん、と顔を埋めてきた。

「うへへー。さいこうきゅうぼふぼふー」

ッはいオイ討ちーー。

「……しゃがらしゃん」

「はい？」

「しゃ、がら……しゃ」

「？何？具合悪くなった？」

身体を起こそうとするも、顔を上げないままの彼女は静かに口を開いた。

「あ、の。ぜったい、ぜーったいおじさんから触るから、安心してくださいね。……は、……たくないだろうから」

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