第46話
「こっちおいで」
まだ赤みの残る眼を覗き込みながらタオルを受け取り、髪を撫でてその髪にくちづける。
彼女は俺の我慢を微塵も知らずに丸くした眼よりも赤くなるから、またひとつ罪悪感を覚えて洗面所を後にし、玄関に置いてきたリュックを拾ってリビングへ向かう。
ぽやっとしたままついてくる阿部が心配で、
心配で。
かわいい。
リビングの明かりを点ける。
そこでふと、今日本来の目的を思い出す。
……あ。
予定が狂っていることに気付く。
取り敢えずソファの足元にリュックを置いて、
「阿部、酒――は今日はやめておこうな」
そう振り返り、何故かリュックの前に膝をついている阿部を横目にキッチンへ。
一応。そんなに飲んでないとは思うけど…あまり酒臭くないし。
けど、弱いやつってどれくらいで酔うんだっけ、顔は、赤いことは赤いけど酔っているからなのか照れているからなのかが…。
んー。
など考えつつキッチンからソファの方にちらりと目を遣って。
驚愕した。
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