第45話

「すみません~」



いや、俺の方が悪い。



「あー、じゃなくて。温度差って言ったのは確か、俺の方が重いよって意味。で、それを阿部が勘違いしているってこと。俺のすきは本当に、お前じゃ想像できないくらいなの」



「……想像できないくらい?」




「そうだよ」と言いながらタオルを渡す。



「懐いて困るっていうのはその時丁度犬の可愛さがどうのってこと考えててそれに例えていったのと、俺も、阿部が口にする『すき』が……飼い犬が飼い主に懐くようなすきなんじゃないかって不安…?だったのもあった、から、」




「相良さん…」



判り易くどきどきしているって目で見られて居たたまれなくなる。っていうかそこはふつう犬に例えられたことに怒るところなんだけど、本当こいつは。





「…見んな」




触りたい、と。心の中で熱を帯びて囁いて。



思うのはこういうときだといつかの誰かさんたちに教えてやりたいくらい、いま、触れたかった。

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