a link in a chain

第39話

「あべ~~~~」



すっぽりと埋まる身体を抱きしめて名前を呼べば、恥ずかしいような安堵したような小さな声で「さがらさん~~」と真似して返ってきて、もう、なんでこんなにすきなのに信じられないなんて言うのっていうくらい愛しい。



信じられないのは、俺でなく自分の自信のなさの所為だというけれど。



そんなの。




「とりあえず抱っこの刑な」


「えっ!?」



予想通り身体を起こそうとした彼女より先に、抱き上げてしまうとしがみついてきた。



「待てなくてごめんなー」



顔が見えないのをいいことに、白々しく口にする。



「い、いいえ、あっありがとう、ございます」


「んー?」



なんかお礼言ってる。



少し強引にも顔を合わせると、いつもは身長差のせいで下から一生懸命見上げることになっている阿部に見下ろされる時の、戸惑った表情が見えた。


今は浮遊に臆しているのか尚更下がり眉になっていて堪らない。



堪らない、というか背徳的でイケナイ庇護欲のようなものがむくむくと湧き上がってきて、靴を脱がせながら慌てて蓋をした。




それにしてもこの軽さ。

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