第37話

「憶える……?」



「ん、憶えてくれる?」



「憶えたら、忘れるのが難しくなります」



「忘れないように憶えるんだろ」




相良さんは、いつも真っ直ぐできらきらと光る言葉を暗闇にくれる。




「……相良さん、これからも一緒にいてくれるんですか」




それは時に眩しすぎて怖くて、触れられなくて申し訳なく思ったりもするけれど、ずっと、待っていてくれた。





「いますよ。俺はずっと離さないけど……逃げるなら今の内ですよ?」






ずっと、だって。




嬉しくて。



温かくて私はほろほろと涙が零れたけれど拭いもせず、「にげません!」ともう一度。




口にして、しゃがんだ先の相良さんにそっと手を回してぎゅーっと抱きしめさせてもらった。

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