第24話

失うは、すごく怖い言葉だ。




そこに、すぐそこに形として見えていたものが軟い風に吹かれたように、それだけなのに一瞬で灰へと姿を変えて、その灰を懸命に掻き集めたとしても。



もう二度と。


“カタチ”にはならないような気がする。




灰はずっと灰のまま。



バラバラになった思い出だけが手の平の中にいつまでも残ってる。




その手の平を下ろすまでずっと、胸の中に縋り付くように。









「私」



「うん?」











「阿部?」

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