第15話
「え……と?」
一度、ふっと眸の強さを緩めたように感じた彼は視線を合わせたまま口を開いた。
「恋人とかいるの?」
「……っ」
言葉に詰まる。
汗をかきだし、前髪を払おうと手を伸ばしてちいさく、ちいさく頷いた。自信がないことが恥ずかしい。けど、それでも頷く。
いいえ、とは言えない。
「そっか。じゃあだめだね」
正直、誘ってくれたことより今の問いかけの方が胸に刺さった。
「手、震えてるね」
気付かれて、顔を上げた。
震えていた手を下ろしたかったこともそうだけど、驚いていた。
「何で?大事にしてくれないんだ?」
他の人が誰も気付かないくらいの震えは止まらなかった。
大事に、『してくれない』?
ちがう。
ちがいます。その言い方は。
相良さんは、何もわるくない。
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