第11話

身体と身体の間に差し出していた、臙脂色の手袋。



見下ろす相良さんが「んー…」とうなってみている。




私は私で近付いた距離にどきどきして身体の中が火照ってしまった。あと、耳と、ほっぺと、目尻もあつくて…あと、あとは、ええと。




「じゃあ阿部、それ俺にして?」



「…っえ?あ、はい…!」




今度は逆に差し出された手。



長い指を、震えた手で掬う。けれど私のよりずっとずっと冷たいそれに胸はあまく傷んだ。




そして手袋をしていく内に気が付く。




「……入りませんです」




真剣にそう口にすると、また上から笑い声が聞こえてきて見上げた。



綺麗な眸と目が合う。




…吸いこまれそう。





「帰るか!」




相良さんはそっぽを向いて歩き出す。



私は、小走りでついていった。

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