第3話
「聞こえてる?」
その時ふわりと微かなお酒の香りが漂った。
けれどきっと、彼は酔っているわけではない。
「う、ん」
「本当?」
近付いた彼の髪が私に陰り、判った時にはもう遅かった。目の奥の色が、酷く冷たい。
「今日、しようね」
「へ、え……っや、今日?」
直感的に横に振ろうとした首を無視して伸びてきた冷たい指先が、私の首筋を這った。
「っ」
無抵抗なる音がしてすぐ彼の手は私の耳上の髪を掻き上げ、冷静にみえる意地の悪い唇はこの耳に寄せられる。
「そう、今日」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます