第2話
彼は、私を放った後追い打ちを掛けるようにスプリングを軋ませた。
それだけで無条件に体温は、一度、急上昇。
その後平然と跨った彼はまだ何も発していなくて、数秒私をじっと見下ろしたかと思えば左手首から腕時計を外し始めた。
私の視線の先。そこには、ネクタイの退いた佳麗な首が覗いていて。
くらくら、してしまう。
「何で俺のスウェット履いてるの」
こちらを見ずに問われて、思わず上擦る声。
一佳の部屋着を借りたことに特別な理由はなくて、単にお風呂から上がったあと着替えを忘れたことに気付いただけで。今までにも何度もあったことだ。
わざわざ聞くことの方が珍しい。
「しかも短い丈の方。寒くないの」
ただ、伏せ目がちな彼から目が離せなかった。
ぼうっとする眸に映る、腕時計を宮棚に置いた一佳は答えを待たずに口元を緩め、額を寄せる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます