ショーンの話

第1話

「うわっ!?」







夜分宜しく“いちか”の御宅で、“いちか”の帰宅を待っていた私。




鍵の差し込まれる音がして、ニュース番組を観ていたテレビから目を離し、抱えていた膝を解いて玄関の方へ向かって。



痺れた脚を擦っていたらドアが開いて、目が合って、上がった彼が私から視線を逸らさずに締めていたネクタイを解き、するりと床に棄てたことに驚いた。




上品なメロンパンみたいな模様のネクタイと見詰め合う。




すると、突然。


視界が持ち上がり、足裏を襲う浮遊感に驚きが重なった。




それからそれは、混乱を招く。





「一佳!?」



「・・・」









Who?



3月3日、ひな祭りという可愛らしい日にこの世に誕生した、恐らく壮絶に可愛かったであろう御年26になる生野一佳というしっかり者が。




What?



無表情を貫き私を抱えたまま進み、行きついた先に私をぶん投げた。




When?



4月1日という4月の頭。




Where?




…ベッドの上。




Why?





平らなシーツの上へ堕ちていく、スローモーションのその中で思う。





……Why?

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